王太子の揺るぎなき独占愛
「イザベラ……ありがとう、感謝する」
「やめてよ、王太子殿下のくせに、謝らないで。それと、ラスペードの第二王子のことは二度と口にしないで」
それまでの軽やかな声とうって変わった鋭い声に、レオンは苦笑した。
「ああ、わかった。だが、俺にできることなら力は惜しまない。頼ってくれよ」
「一応、ありがとうって言っておくけど、世の中にはどうにもならないことがあるって、わかってるし。忘れて」
イザベラはレオンの目の前で人差し指を立てると、ピシッと言った。
「わかった? 余計なことはしないで。じゃなきゃ、ずっとレオンのそばにいていろいろ邪魔してやるんだから」
イザベラは笑いながらそう言うと、勢いよくレオンに抱きついた。
「お、おい、ふざけるなよ。いい加減に……離せよ」
レオンはしがみついてくるイザベラを引き離そうとするが、イザベラはぎゅっと抱きつき離れようとしない。
「イザベラ……泣いてるのか?」
レオンはイザベラの頬に流れる涙に気づき、動きを止めた。
そして、天井を仰ぎ、大きく息を吐き出した。
そして、レオンにしがみついてひくひくと泣いているイザベラの背中をポンポンと叩いた。
「イザベラ、頼むぞ」
子どもをあやすようなレオンの声に、イザベラはしゃくりあげながら、何度もうなずいた。
ふたりの様子をこっそり見ていたサヤは、初めて見るイザベラの姿に驚いていた。