王太子の揺るぎなき独占愛



「そう。王妃としてではなく、レオンの母親として、とてもうれしいわ。ありがとう。きっと、私と陛下に負けないくらいの素敵な夫婦になれると思うわ」
「……ありがとうございます」

 シオンの優しさに、サヤは目の奥が熱くなるのを感じた。
 そっとうつむき、涙をこらえた。

 すると、今までとは違う低い声で、シオンが言葉を続けた。

「あのね、サヤ……王妃になるのなら……知っておかなければならないことがあるの」

 シオンはサヤの顔をじっと見つめ、口元を引き締めた。
 笑顔などどこにもない、覚悟を決めたような様子に、サヤは不安を覚えた。

「今日は、サヤに伝えておくことがあるから来てもらったの。今、サヤが幸せなら、その幸せを守るために、しっかりと受けとめてほしいの」
「は、はい……」

 体ごとサヤに近づきその手を取ったシオンに、サヤは戸惑う。
 ただ、決して簡単な話ではないのだろうと、感じた。

 シオンはしばらくの間考え込んだあと、長衣の内ポケットから小さな巾着袋を取り出した。
 手のひらにすっぽりと収まるほどのそれは、もともと白い綿だったようだが、かなり昔に作られたようで、薄い黄色に変色していた。

「これは……?」

 サヤが問えば、シオンは苦しげな表情を浮かべ、ためらいがちに口を開いた。

「これはね、私が陛下のために調合した、毒なの」
「……は? すみません、毒って聞こえたのですが……聞き間違いですよね?」

 まさかそんなことはあり得ないと、サヤは笑ったが、シオンは真面目な顔で首を横に振った。


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