王太子の揺るぎなき独占愛




 前国王夫妻はとても厳しいひとで、シオンに厳しくあたることも多かった。
 それは国王夫妻の愛情でもあったのだが、若いシオンには理解できず、よく泣いていた。
 王宮の中に自分の味方はラルフひとり。
 かたくなにそう思い込んでいた。

 そんな中で聞かされたのが、王妃が作る毒。

 かなりの衝撃だった。
 シオンはそのときの苦しみを今もはっきりと覚えている。

「大丈夫よ、レオンは大丈夫。サヤがレオンを支えれば、絶対に毒を使うことなんてないわ」

 シオンはサヤの背中を撫で、必死で励ました。

「毒の存在は、もちろん気持ちのいいものではないけれど、これは、決して王の命を絶つためのものではないの。サヤがレオンを愛して支えれば、毒ではなくお守りになるのよ」

 シオンの切実な声に、サヤはゆっくりと顔を上げた。
 苦しみに翳る瞳から、涙がこぼれ落ちる。

「お守りって、どういうことですか?」

 かすれた声で、サヤは尋ねた。
 シオンは指先でサヤの涙をぬぐうと、安心させるように笑った。

「簡単なことよ。毒を使う状況を招かないために、王妃にしかできないことがあるっていうこと」
「王妃にしか……」

 シオンの言葉が理解できず、サヤは首をかしげた。

 けれど、シオンの柔らかな表情を目の前にして、落ち込んだ心が浮上していくような気がした。

「そう、王妃だけができること」

 シオンはサヤの肩を抱き、耳元に優しくささやいた。



< 189 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop