王太子の揺るぎなき独占愛
前国王夫妻はとても厳しいひとで、シオンに厳しくあたることも多かった。
それは国王夫妻の愛情でもあったのだが、若いシオンには理解できず、よく泣いていた。
王宮の中に自分の味方はラルフひとり。
かたくなにそう思い込んでいた。
そんな中で聞かされたのが、王妃が作る毒。
かなりの衝撃だった。
シオンはそのときの苦しみを今もはっきりと覚えている。
「大丈夫よ、レオンは大丈夫。サヤがレオンを支えれば、絶対に毒を使うことなんてないわ」
シオンはサヤの背中を撫で、必死で励ました。
「毒の存在は、もちろん気持ちのいいものではないけれど、これは、決して王の命を絶つためのものではないの。サヤがレオンを愛して支えれば、毒ではなくお守りになるのよ」
シオンの切実な声に、サヤはゆっくりと顔を上げた。
苦しみに翳る瞳から、涙がこぼれ落ちる。
「お守りって、どういうことですか?」
かすれた声で、サヤは尋ねた。
シオンは指先でサヤの涙をぬぐうと、安心させるように笑った。
「簡単なことよ。毒を使う状況を招かないために、王妃にしかできないことがあるっていうこと」
「王妃にしか……」
シオンの言葉が理解できず、サヤは首をかしげた。
けれど、シオンの柔らかな表情を目の前にして、落ち込んだ心が浮上していくような気がした。
「そう、王妃だけができること」
シオンはサヤの肩を抱き、耳元に優しくささやいた。