王太子の揺るぎなき独占愛



 レオンはしばらくの間サヤを愛しげに見つめると、自分を落ち着かせるように息を吐き出した。
 そしてサヤの頭に軽くキスを落とし、顔を埋めた。

 その瞬間、サヤが身じろぎし、いっそう強い力でしがみついてくる。

「サヤ、いい加減、顔を見せてくれよ」

 レオンの笑い声に、サヤはかぶりを振った。

「俺だけのかわいい顔を、早く見せてくれ。今日は朝からやっかいな話ばかり聞かされて疲れてるんだ。サヤが笑ってくれれば疲れも吹っ飛んで、明日も頑張れる」
「……そんなに疲れてるのですか?」

 サヤはもぞもぞと動きながらつぶやいた。

「ああ、こうしていてもすぐに眠れそうなくらい、疲れてるな」
「……そんなに?」
「もちろん、サヤとこうして一緒にいるんだ、もったいなくて寝ないが。だから顔を見せろよ。せっかく一緒にいられるのに、もったいないだろう?」

 言い聞かせるようなレオンの声に、サヤはおずおずと顔を上げた。
 恥ずかしくて照れくさい。
 どんな顔をしていいのかもわからないが、レオンが言うように、ふたりでいるのに顔が見えないのはもったいないと思ったのだ。

「……どうだ? やっぱりお互いの顔を見る方がいいな」

 レオンがサヤの頬を優しく撫でる。
 きめの細かいキレイな肌が真っ赤に染まり、瞳は照れくささのせいで揺れている。
 それでも、レオンに触れられれば心は凪ぎ、幸せが満ちる。
 このままずっとふたりきりでいたいと、子どものようにせがんでしまいそうだ。

「殿下、私……」

 頬を撫でるレオンの手に、サヤの手が重なった。
 鍛えられた屈強な体に似合わない、細い指。

 手のひらや甲に残る傷に触れると、痛みは残っていないのかと心配になる。
 騎士団にいたころは危険なこともあったのだろうと想像すれば、今さらながら胸が痛む。



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