王太子の揺るぎなき独占愛



 シオンから聞かされた毒のレシピのことも次第に思い出していたが、そのことに落ちこむ余裕もないほど、レオンに翻弄された。

 それだけでなく、サヤに与えられた刺激は今も彼女の体に残り、毒以上に彼女を悩ませている。
 
 自分の声ではないような声を漏らし、自分の意に反して体はレオンを求めていた。

「恥ずかしすぎる……」

 サヤは両手で顔を隠し、再びベッドに突っ伏した。

「サヤ? やっぱりどこか痛むのか?」

 いつの間にか戻ってきたレオンが、突っ伏すサヤを心配し慌てて声をかけた。

「やっぱりどこか痛むんだろう? 俺がもっと早く駆けつけていればよかったんだ」

 レオンはベッドに腰かけ、サヤの体をそっと起こした。

「あ、あの、大丈夫です。どこも痛まないし、平気です」

 サヤは恥ずかしそうにつぶやいて、視線を泳がせた。
 レオンに見せた自分の姿が恥ずかしすぎて突っ伏していたなんて、言えるわけがない。

「そうか。だったらいいんだが」

 レオンは腑に落ちない様子で首をかしげながら、手にしていた薬草をサヤに差し出した。

「一応、これを貼っておけ。王妃殿下が前に鉢植えを置いていったんだ。なにを考えてるのかわからないよな」

 レオンが手にしていたのはリュンヌの葉だった。
 打撲や捻挫によく効き、患部に貼っておけばじきに痛みが治まってしまう。
 消毒効果もあることから擦り傷の治療にもよく使われる。


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