王太子の揺るぎなき独占愛
普段から自分は幸せだと口にするカーラは、苦労を覚悟して嫁いだルブラン家で予想外の幸せを手に入れた。
もともと病弱だったサヤの父ダスティンは、騎士として王家を守るという務めを果たすことができず、本人も家族も彼の将来を悲観していた。
日常生活は人並みに送れても、騎士としての役割を果たすには体力が足りなかった。
度々熱を出しては寝込み、医師から処方される薬を飲んでは落ち込んでいたのだ。
そんなある日、気分転換に城下におりたダスティンは、運命の出会いを果たした。
美しき女性カーラと出会ったのだ。
当時美人で有名だったカーラは教師をしていたが、ダスティンからの熱烈なアピールを受け陥落、そして結婚した。
その結婚に喜んだのはダスティンだけではなかった。
彼の将来を心配していた家族もみな喜び、結婚してくれるカーラに感謝した。
結婚すらあきらめていた病弱な息子に美しい女性が嫁いできてくれたのだ。
たとえ貴族ではない城下の人間だとしても、それは関係なかった。
将来、両親が亡くなったあとも、ダスティンは孤独ではない。
それだけでよかった。
ダスティンの両親だけでなく、親戚たちもみなカーラとの結婚をもろ手を挙げて賛成し、それは結婚二十周年を過ぎた今でも変わらない。
それどころか家を切り盛りするカーラに感謝し「いい嫁をもらった」と言い続けている。
ロザリーの言葉を借りれば、カーラは結婚以来別人のように強くなったということだが、そうならなければ生きていけなかったのだ。
平民であるカーラが筆頭公爵家に嫁ぐなど、本来ならあり得ない話であり、それを許した当時の国王の気まぐれではないかと誰もが口にした。
それでも、カーラは今にこやかに自分が幸せだと口にする。
決して強がっているわけではなく、心の底からそう思い、ダスティンを愛していると照れることなく言葉と態度で示す。