王太子の揺るぎなき独占愛
ダスティンはそこまでひと息で言うと、執事が急いで持って来た水を飲み干した。
「あなた、いったい、どういうこと? え? サヤの結婚が決まったって……」
驚いたカーラの声が部屋に響いた。
「そうだ、陛下に呼ばれて王宮に行ったんだが……そこでサヤを結婚させるとおっしゃったんだ」
「あなた、それでサヤの結婚相手って誰なの?」
カーラはダスティンの肩を何度も揺すった。
「お、おい、慌てるなって言っても無理だな。俺も、今もまだ信じられないんだ」
「だから、もったいぶらないで早く教えてください。サヤはこのままファウル王国にいられるんですか? それとも他国に嫁ぐのですか?」
サヤは甲高いカーラの声を他人事のように聞いていた。
自分の結婚と言われても、まだピンとこないのだ。
今日、ロザリーの言葉に後押しされ、どんな状況になっても、その変化を楽しみ幸せにならなければと決めたばかりなのに、やはりまだ気持ちが追いつかない。
他国に嫁ぐ可能性をも含め、陛下がお決めになったことには従うよりほかにない。
それはわかっているが、こうして両親とともにいられる時間に終わりがあるとは信じられないのだ。
そう、これは夢なのかもしれない……。
まるで現実逃避をするように気持ちを落ち着かせ、続くダスティンの言葉をぼんやりと待っていると。
「そ、それが、他国に嫁ぐよりもやっかいな……いや、光栄なお話なんだが」
ダスティンは、一度深呼吸をして気持ちを整えた。
そして、覚悟を決めたようにサヤとカーラを順に見た。
「サヤ、驚くなよ。お前が次期王妃として内定した。レオン王太子殿下との結婚が決まったんだ」
「レオン殿下と……」
やっぱりこれは夢だ。
サヤはダスティンの声を頭の中で繰り返しながら、そう思った。