王太子の揺るぎなき独占愛
そして、次の王妃が決まるのは十年後あたりだろうと思われていたのだが。
ルブラン家をはじめ主要貴族の家長が突然王城に集められ、ラルフ国王の退位とレオン王太子の即位が告げられた。
その場にいた者すべてが言葉を失うほど驚き、王城の広間は束の間静まり返った。
健康に問題はなく、国政も順調に進んでいる今、何故退位するのか。誰にもわからなかった。
そして、国王の次の言葉を待った。その言葉とは、次期王妃の名前だ。
通常、国王の退位が発表されると同時に次期王妃の名前が告げられ、次代を担う新国王夫妻を祝う行事の準備が始まるのだ。
ルブラン家の女性の誰が次期王妃として選ばれるのか、その名前を待った。
そうはいっても、次期王妃として予想されるひとりの女性がいた。
ルブラン家の本家に生まれ、その美貌と女騎士としての実績で有名なイザベラだ。
本来、ルブラン家の女性は王家の森の管理をするため、子どものころから教育されるのだが、本人の資質次第では王家を守る騎士として育てられる場合もある。
逆の場合もしかりで、病弱で騎士には不向きだったダスティンが王家の森の管理を任されたのがいい例だ。
イザベラも生まれもっての勝気な性格と運動神経の良さが国王の目にとまり、数少ない女性騎士として訓練を続けていた。
女性王族の警護が主な仕事だが、国事の際には男性の騎士たちに交じり警護にあたる。
女性騎士といえど、その訓練の厳しさは男性と変わらず、女性王族だけでなく男性の王族の警護を命じられる場合もあるほどだ。
イザベラは現在ジュリア王女の警護を担当していて、日々王宮に出仕している。
百七十センチという恵まれた身長と引き締まった体で剣を振る姿は男性だけでなく女性からの視線も集め、レオンと並べばまるで後光が差しているかのように美しい。
レオンが王位に就くのはまだ先の話だと思われていたせいで、現在二十才のイザベラが王妃になることはないだろうと残念がられていたが、レオンの即位が決まった今、彼女が王妃に選ばれるに違いないと、思われた。