王太子の揺るぎなき独占愛
「ちゃんとこれをかけておけ」
うつむくサヤの肩に、レオンは手にしていたマントをかけた。
「あ、ありがとうございます」
レオンは胸元のリボンをきゅっと結び、満足げに笑った。
「赤がよく似合ってる」
「……ありがとうございます」
マントの色に負けないくらい、サヤの顔は赤くなり、鼓動はドキドキと音をたてる。
久しぶりにレオンと会えてうれしいが、顔を合わせた回数は少なく、照れてうまく言葉が続けられない。
レオンが結んでくれた胸元のリボンを手で触りながら、息を整えるだけで精一杯だ。
照れるサヤの気持ちに気づいているのかいないのか、レオンは落ち着いた様子でビオラに視線を向けた。
紫のビオラはファウル王国の国花だ。
新王の即位式のとき、新王が身にまとう服の裏地には、国の繁栄と王の健康を願い、新王妃が紫のビオラの刺繍を施すことになっている。
新王が不屈の精神でファウル王国を繁栄させることができるようにと願いながらひと針ひと針縫うのだ。
「これまでじっくり見ることはなかったが、意外に小さな花だな」
レオンの言葉に、サヤは頷いた。
「とても小さくてはかなげな花ですが、気候の変化にも耐える、強い花なのです。国花に選ばれるだけあって彩りもキレイですし、見ていて飽きません」
「そうだ。俺が生まれたときに植樹したクスノキの周りにもたくさん咲いているな」
ふと思いついたようにレオンがつぶやいた。