王太子の揺るぎなき独占愛
突然サヤの目の前が真っ暗になった。
レオンがサヤの背中に手を回して抱き寄せたのだ。
レオンのたくましい胸に押し付けられたサヤは、身動きが取れない。
「あの、殿下? 突然どうしたんですか……」
押し付けられた頭をどうにか動かして顔をあげれば、無表情でサヤを見つめるレオンの顔があった。
「子どもって、ずるいよな」
レオンは目を細め、ふてくされたような声で言い捨てた。
「は……? ずるいって、どうして?」
サヤはレオンの言葉に戸惑った。
まるで意味がわからない。
「あの、子どもたちっていつも素直でかわいらしくて、私になついてくれて。決してずるくないと思うんですけど」
「は? どこが素直でかわいいだよ」
レオンは面倒くさそうにそう言うと、大きく息をついた。
なにが気に入らないのか唇をきゅっと結んだ表情は、やはり子どものようだ。
体が大きなぶん、サヤが抱き込んで薬を飲ませたりできずやっかいだ。
「レオン殿下?」
「きっとその子どもたちはサヤのことが好きなんだよ」
サヤの体をいっそう強く抱きしめながら、レオンは声を荒げた。
「わざと薬を飲みたくないって言って困らせて、サヤに構ってもらいたいんだよ。で、抱きしめられるのを待ってるに決まってるんだ」
「あの……殿下? 子どもたちは本当にお薬が嫌いで、逃げちゃうんですよ。別に困らせるわけではないと思う……」
「いや、サヤは騙されてるんだよ。子どもたちは自分がどう行動すればかわいく見えるかとか大人が優しくしてくれるかとかちゃんと計算してるに違いない」