王太子の揺るぎなき独占愛
レオンに好意を寄せているサヤにとってその現実はとても切なく寂しいものだ。
結婚したあとは、せめて夫婦として互いを尊重し大切に思い合える関係になりたいと願っていたが、もしかしたらその願いは叶うかもしれないと、期待しそうで怖い。
たとえ王命による結婚だとでも、互いを慈しむようになれるかもしれない。
そして、サヤが自分の恋心に忠実であれば、レオンもその思いの何分の一かでも返してくれるかもしれない。
レオンの体温を感じているせいか、そんな期待があふれてくる。
結局、その期待はもろく崩れ、サヤの心をひどく傷つけてしまうかもしれないけれど。
「王妃は王の専属なんだ。たとえ子どもであっても、俺以外を抱きしめるなんて論外だ」
そんな不安をおしやるようなレオンの優しい声に、つい、未来が楽しみになる。
「子どもでも、ですか?」
「とくに子どもはだめだ。無邪気な振りして自分のわがままを通す面倒な生き物だからな」
自信ありげにつぶやくレオンに、サヤは首をかしげた。
「……思い当たることでも、あるんですか?」
問いかければ、レオンは力強い声で答えた。
「もちろん。子どものころの俺がそうだったからな。ジュリアとふたり、王宮のシェフに笑顔を振りまいて好物のシフォンケーキを焼いてもらったり、家庭教師が好きな花をプレゼントして機嫌をとっては勉強の合間に部屋を抜け出して王家の森で昼寝をしたりしてたんだ。子どもは悪知恵が働くから油断するなよ」
決して誉められるわけではない過去の所業を喜々とした表情で話すレオンに、サヤは呆れた表情を見せた。