王太子の揺るぎなき独占愛
「陛下と妃殿下は退位後、静養のために、少し南にある離宮に移る。のんびりとした空気が流れるいい場所で、喘息の妃殿下のことを考えれば俺も賛成だが、ジュリアも嫁げば王宮は一気に寂しくなる」
レオンの胸から耳触りのいい声が聞こえ、サヤはそのままの姿勢でうなずいた。
「王宮で長く働いている者たちも何人かは陛下たちとともに移る。ジークは王宮に残るが、家族がそれぞれの人生に向かって歩き出すというのは……やはり寂しいな。だから、よろしく頼むぞ」
「……わ、私ですか?」
レオンの言葉を聞いて、サヤはおずおずと顔を上げた。
「ほかに誰がいる? 俺と婚約したのは、お前だろ?」
「は、はい、もちろん」
サヤはコクコクとうなずいた。
レオンの口から婚約という言葉がこぼれ、ときめいた。
ようやく、自分がレオンの婚約者なのだと実感もした。
「王宮で働く者たちはジュリアの結婚が決まって喜んでいるが寂しくなると沈んでいたんだ。だが、王妃としてサヤが王宮にやってくる。もともとサヤは医師の手伝いで王宮に来ることも多かったから、みんな喜んでる」
「本当ですか?」
「王族だけでなく、体調を崩して診察を受ける使用人にも優しく接するサヤに感謝する者は多いんだ」
「でも、それは別に……」