王太子の揺るぎなき独占愛
それから三か月。状況は大きく進んでいた。
退位を決めたラルフの動きは早く、あっという間に段取りを整え、退位を決めたことを公表した。
もちろん国中大騒ぎになったが、ラルフの目論見どおり、溺愛するシオンのための退位だと言えば誰もが納得した。
そしてレオンの望みどおりサヤが王妃として選ばれ、レオンとサヤの結婚準備が始まっている。
ラルフの一年以内の退位を望んでいたレオンだが、ラルフは楽しい未来を待ちきれないとばかりに、九カ月後の退位を決めた。
それは隣国に嫁ぐジュリアの結婚式から三か月後にあたり、慶事だとはいえ、大きな行事が重なることに不満の声も聞こえた。
今現在も、ジュリアのウェディングドレスの準備や、婚礼道具の用意で城内は慌ただしい。
それと並行して行われているのがラルフの退位式とレオンの即位式の準備。
そして、サヤとレオンの結婚式の準備だ。