王太子の揺るぎなき独占愛
大国であるファウル王国は、国境に沿って連なる山脈によって他国からの侵入を防ぎ、平和で穏やかだ。
子どもたちの教育にも力を入れ、国民全体の学力も高い。
そして鉱産物をはじめとする豊かな資源により安定した国力を維持している。
そんなファウル王国との接点を得ようとする国は多く、サヤとレオンの結婚式に参列を希望する国はかなりの数で、それだけでも盛大な結婚式になるのは明らかだ。
レオンにとって国事はどれも義務のようなもの。
どれほど面倒なものでもローテーションのように淡々とこなしていた。
しかし、いよいよ自分の結婚式の準備が具体的に始まれば、それまでの冷静すぎる性格は鳴りを潜め、サヤはどのような結婚式を希望しているのだろうか、そして彼女に似合うウェディングドレスはどんなデザインだろうかと、公務の合間にも考え続けている。
今日も、周辺国から祝いの品が届いたが、それは豊かな光沢のある絹の布で、レオンはそれを見た途端、サヤのためにドレスを仕立てようと心躍らせた。
珍しい菓子が届けば早速サヤのもとに自ら届け、ふたりでおいしくいただいている。
ようやく手に入れた愛しい女性を、いっときも離さず側に置きたい。
叶うのならば、王家の森の奥にある東屋にふたりでこもり、甘い時間を過ごしたいのだが。
どれほど頭の中がサヤでいっぱいだとはいえ、公務に支障をきたすわけにはいかない。
元来の真面目な性格のおかげで、そのあたりの線引きはできている……今のところ。