王太子の揺るぎなき独占愛



 レオンは指先でサヤの顎を掴むと、そのまま上を向かせた。
 慌てたサヤは、恥ずかしげに視線を逸らした。
 まっすぐでキレイなピンクブロンドの髪がさらりと揺れ、ほんの少し、サヤの頬にかかった。
 レオンはもう一方の手でその髪を払うと、顔を近づけた。

「笑い声は聞こえなかったが、あれほど楽しそうにサヤが笑うのを久しぶりに見たような気がした」

 レオンはそのままサヤにキスを落とした。
 かすめるように軽いキスだが、その先を求めるような熱が瞳に浮かんでいる。

「王妃教育が忙しいのはわかるが、俺もサヤの笑顔が見たい」

 婚約した途端、レオンは即位に向けての準備が始まり、城を空けることが多くなった。

 早々に公務をレオンに引き継ぎ夫婦水入らずの時間を楽しんでいるラルフに代わり、他国の視察や国事に出席する機会が激増したためだ。
 
 結婚すればサヤを伴うこともできるのだが、今はまだレオンひとりでこなしている。
 サヤも毎日のように王城に来ているが、王妃教育が続いていて、レオンと顔を合わせる時間はかなり少ない。
 今こうして話すのも、五日ぶりだ。



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