王太子の揺るぎなき独占愛

 

 レオンに抱きこまれ、落ち着かない声で答えるサヤに、レオンは苦笑した。

「頑張りすぎだって、聞いてるぞ。すでに王家の歴史については完ぺきで、礼儀作法もほぼ身に着いていると褒めていた」
「そんな、私なんてまだまだです。ジュリア様のように華やかなドレスも似合いませんし仕草や動きもまだぎこちなくて……。王家の歴史も、ただ覚えただけで、社交の場で話題にのぼっても話についていけるのかどうか、自信がありません」
 
 か細く震える声でつぶやくサヤにレオンはのどを震わせ笑った。

「そんなの、俺だって話についていけないぞ。王家の歴史のなにが重要なのか、いまだにわからないままだ。それに、ジュリアをまねることもないんだ。あいつは物心ついたころから王女だから、所作も自然に身についてる。ドレスだって、着る機会が多かったから自分に似合うドレスがどんなものなのか、よくわかってるんだ。自分をよく見せる着方も、逆に似合わないデザインや色もちゃんと知ってるから失敗しない。それだけだ」
 


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