君のことは一ミリたりとも【完】



唐沢を信じる……


「好きにならなくてもいい、ただ爽太先輩が本当に河田さんのことが好きだって分かっててほしいんです」





「……」


言いたいことを全て言い切ってスッキリした顔持ちの新田さんと別れ、再び駅までの帰路に立つ。
信じろと言われても全てがいきなりすぎる。私だって別に人を信じられない性格ではない。

それなのに唐沢の言葉に聞く耳を持たない私が全部悪いみたいじゃないか。


「(だって、信じられないに決まってる……)」


あんなに態度悪くして、目の敵みたいに思われてたのに急に手をのひらを返したように優しくされて……
そんなの、疑ってかかるのは当たり前でしょう。信じられなくて当然でしょう。


「(裏切られるかもって思うじゃん)」


"また"都合よく手離されて、一人にされるんじゃないかって思うじゃん。
男の人なんて全員そんなものかって……女なんか使い捨てで……

自惚れる方が馬鹿みたいで……


「思うでしょ……」


信じたくないのは裏切られるかもしれないと思っているからだ。
だけどその気持ちは彼を信じたいという期待からきているものだ。



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