君のことは一ミリたりとも【完】




けど、もし本当に恋人だとしたら……


「爽太先輩?」

「っ……なに?」

「同窓会どうでしたか? 懐かしい人とかいました?」

「うーん、まぁ。8年も経ってるからねぇ、自分の老いを感じたよね」

「……気になる人とかいました?」


そう恐る恐る聞いてくる彼女に「まぁ、いたかな」と珍しく素直に答えると加奈ちゃんは「え!?」と声を上げる。


「ど、どんな人ですか!?」

「学生時代、超仲が悪かった人。久し振りにあっても『やっぱり嫌な人だなぁ〜』って思った」

「え、えぇ……何でそれ仲悪かったんですか?」

「……何だろう、なんかその子に対しては素直になれなかったんだよね。向こうも俺に敵意剥き出しにするのも腹が立ったし。何もしてないのに一方的に嫌われてるのって酷くない?」

「……それって」


彼女はボソボソと呟いた。


「それって、思春期だったんじゃ」

「え?」

「あっ、な、なんでも! でも珍しいですよね、爽太先輩ってあんまり人を嫌いとか言わないから」

「……」






< 13 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop