君のことは一ミリたりとも【完】
けど、もし本当に恋人だとしたら……
「爽太先輩?」
「っ……なに?」
「同窓会どうでしたか? 懐かしい人とかいました?」
「うーん、まぁ。8年も経ってるからねぇ、自分の老いを感じたよね」
「……気になる人とかいました?」
そう恐る恐る聞いてくる彼女に「まぁ、いたかな」と珍しく素直に答えると加奈ちゃんは「え!?」と声を上げる。
「ど、どんな人ですか!?」
「学生時代、超仲が悪かった人。久し振りにあっても『やっぱり嫌な人だなぁ〜』って思った」
「え、えぇ……何でそれ仲悪かったんですか?」
「……何だろう、なんかその子に対しては素直になれなかったんだよね。向こうも俺に敵意剥き出しにするのも腹が立ったし。何もしてないのに一方的に嫌われてるのって酷くない?」
「……それって」
彼女はボソボソと呟いた。
「それって、思春期だったんじゃ」
「え?」
「あっ、な、なんでも! でも珍しいですよね、爽太先輩ってあんまり人を嫌いとか言わないから」
「……」