君のことは一ミリたりとも【完】
久しぶりにスマホを確認すると唐沢からLINEのメッセージが入っていた。
『美味しいもの食べてる? お土産待ってまーす』
軽い気持ちで送ってきているのが目に見えすぎる文章に呆れて言葉を出ない。唐沢らしいとは思うけど。
でも本当は生瀬さんのことを知りたいんだろう。アイツは少し心配性なところがあるから。言動と違って中身はとても繊細で、そして誰よりもピュアであることを一緒にいることが多くなってから手に取るように分かる。
ふとスマホの画面から顔を上げると目の前の道路を挟んだ先に粉物のお店が見えた。美味しいもの、まだここに来て食べたと言えるのはお昼のうどんくらいだろうか。
お土産も明日新幹線に乗る前に買う時間があるといいけれど、そう考えているうちに電話を終えた生瀬さんが戻ってきた。
「悪い、待たせた。帰るか」
「はい」
腰を上げた瞬間、お腹に力を入れたからかとんだ抜けた音がなる。
流石の生瀬さんも突然のお腹の音に目が点になっていた。
恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。
と、
「あははっ!」
「っ……」
生瀬さんが突如お腹を抑えて笑い始めた。
そんな姿を見たのは初めてだったので私もどう対応していいか分からなくて戸惑う。
「どうした、珍しいな。気が抜けたか」
「え、えっと……流石にお腹が空いたなって」