君のことは一ミリたりとも【完】




何で仲良くもない私のために、そう思っていると私の存在に気が付いたのが不意に後ろを振り向かれた。
目が合って画面を覗き込んでいたことがバレ、気まずい雰囲気が流れたが彼は自然と「気分は?」と尋ねてきた。


「ちょ、ちょっとマシになった」

「そう、河田さん自分の体調管理はしてる方だと思ったら吃驚した」

「……」


前まではそうだった、自分の体調で誰かに迷惑をかけるのが絶対に嫌だったから。
他の人に借りを作るくらいなら全部一人でやった方が楽に思えた。

たけど最近の私は……


「……仕事、終わってないの?」

「あー、まぁ色々あってね」


なんで、仕事なんかよりも優先して私のところに来るの。
私にこと嫌いだったんじゃないの。不倫して、振られて、それでざまあみろって思ってたんじゃないの。

私のこと大嫌いって言ってたくせに、


「(何で……)」


何でキスなんかしたの。


「アンタ、私のこと好きなの?」


私がそう呟いた瞬間にお喋りな彼の口が閉ざされた。
呆気に取られた表情でこちらを見つめる唐沢に私は溜息を吐きながらベッドに腰掛ける。




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