君のことは一ミリたりとも【完】
依存、唐沢の言葉は私に当てはまっていると思った。
誰かに依存することによって自分が受け入れられていると錯覚してしまっていた。
だから、何も気がつかなかった。
『貴方の粘り勝ちかなって思ったんだけど、そうでもなかったようね』
私がしでかしたことがどれくらいの罪の大きさだったのかを。
「河田さん? 顔真っ青だけど。横になったら?」
「っ……」
「……どうした?」
心配そうな瞳で見つめられ、さっと視線を逸らす。
すると何かに勘付いた唐沢は「どうしたの」と、
「やっぱり何かあった? 河田さんが体調崩すとか稀だしね。高校の時3年間皆勤賞だったじゃん」
「なんで知ってんの」
「何でも。だから今は精神的に来てるのかと」
そういえば唐沢の特技は人間観察だったはず。特に褒められた特技でもないのだが。
まるでメンタリストのように私の心を覗き込もうとする彼から逃れたくて距離を取る。
「もしかして生瀬にクビを切られたとか?」
「っ……そんなんだったらどれだけ楽か」
「え、それよりも酷いんだ?」
「……」