君のことは一ミリたりとも【完】



「気にして、ないのか?」

「……」


その言葉に胸に抱いていた確認資料を引き寄せる。
どうして、貴方から私を振ったくせに、遠ざけたくせに……

悲しい顔をしているのか。


「は、なしてください……気にしてないと言ってます」

「……」


私から手を離した彼ははぁと疲労した溜息を漏らしながらその手を自分の額に当てた。

そして、


「どうかしてるな」


そう、やるせなく呟く。


「俺はお前に気にしてほしいのかもしれない」


そう吐き出した言葉は私の心に重くのしかかった。
遠くから私たちのことを呼ぶ菅沼の声が聞こえ、それに返事をすると立ち尽くしている私から離れていく彼。

状況が判断できず、ただただその場に立っていることしかできない。


「(どうして……)」


どうして、今更……


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