永遠の愛を(番外編も完結)
ふと、高校時代の彼を思い出した。

休み時間になると唯ちゃんと先輩を探しに行っていたあの頃を。

いつからか、私が先輩を見つけるよりも、先輩の方が先に私を見つけていた。

目が合った彼はいつも、他の人には気づかれない程度に口角を上げわずかに目を細めて微笑んでくれた。

唯ちゃんに対しての後ろめたさはあった。

だけど、そのどこか特別な関係に優越感のようなものを感じている自分も確かにいたのだ。

「お待たせ。美麻は甘い方がいいと思ってこれにしたけど、良かった?」

車に乗り込んできた彼は、片方のカップを私に差し出しながらそう言った。

彼が私に選んでくれたそれには、たっぷりのクリームがのせられとても美味しそうだった。

「あ、はい。えっと幾ら…」

「要らないって、そんなの。はい、どうぞ。」

彼が呆れたように笑う。
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