ぎゅっと、隣で…… 
*****


 優一は自分の部屋のベッドに横たわっていた。


 さっき、小百合からメールが届いた。


『今夜、うちにこない?』


 どうしてこんな事になっちまったんだよ…… 

 自業自得なのだが…… 


 夕べは、南朋を本屋に迎えに行ったのに、突然小百合が現れた。


「今夜は予定があるって言っただろう?」

 優一の言葉に小百合はケロっとして言った。


「ああ、そうだったわね…… 私も偶然本を探しに来ただけだから……」


「じゃあ、俺はもう行くから……」


 優一が、小百合の絡んだ腕からするっと抜け背を向けると、



「予定の相手って、あの子じゃないわよね?」


 小百合の声がゾクッと背中に刺さった。



「偶然会っただけだって言っただろ」



「そう…… ならいいわ」

 小百合の声は、納得したように聞こえるが、冷ややかだ……



「なあ、小百合…… 話しがあるんだ」


 優一は、振り向き小百合を見た。


「ごめんなさい…… 私、これから用事があるの、またにしてくれる?」

 小百合は、今日初めて優一に笑いかけた。



「じゃあ、今度……」


 優一が言い終わらないうちに、小百合は手をふて店を出て行ってしまった。




 優一は、本屋を出て、南朋を追い掛けたが、南朋を見つける事は出来なかった。


 ベッドの上に寝転び、大きなため息を着くと、スマホを放り投げた。


 もう、小百合との関係を続ける気は無いが、当たり前のように誘ってくる小百合のメールに気が重い……



 もう一度、深くため息をついた時……


「兄ちゃん、やっべよ―」


 和希がいきなり、優一の部屋のドアを開けた。

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