ぎゅっと、隣で…… 
 南朋がほっとすると、又すぐ翔が戻って来た。



「姉ちゃん、レンタルまで乗せてって……」


「嫌よ! 今は外に出たくない!」



「いいじゃん、頼むよ…… 明日までに、どうしても決めなきゃ行けない曲があるんだよ……」


「何よ、それ? お父さんに頼んだら?」



「もうビール飲んでた……」


「自分でなんとかしてよ!」



 南朋は、ベッドの上で顔をうずめた。


 翔が、小さくため息をつくと、部屋のドアが開いた。



「南朋?」


 お婆ちゃんが入って来た。


「お婆ちゃん、何?」


 南朋は、顔を埋めたまま返事をした。


「すまんが南朋…… いつもの漢方薬が終わってしまってな…… 悪いが買ってきてくれんか?」


「ええ―。明日じゃダメ」


「ダメダメ。今直ぐじゃ!」

 婆ちゃんは、南朋を追いたてるように手を叩いた。



「もう、しょうがないな」


 南朋はしぶしぶ起き上がった…… 


「車のカギ俺が持ってく!」



 翔が、カギを手に部屋を出た。

 南朋も仕方なく、続いて部屋を出た。
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