キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
なんて言ってる間に、会長は試合へと戻って行ってしまった。
「野々原さん。今アイツ何か言わなかった?」
「うん。言ったね。何か面白くなりそう〜」
「え?」
「ほら。五十嵐くん本気出しちゃったみたいだよ」
本気?
なぜか楽しそうな野々原さんにそう言われ、コート内の会長に視線を戻せば。
────ダンッ!!
へ!?
今まさにダンクシュートを決めた瞬間の会長の姿が飛び込んできて、思わず息が止まる。
それと同時に、会場内が大熱狂に包まれた。
ど……ど……どういうこと!?!?
会長はその後も、ドリブルで一人また一人とかわし、まるで会長のワンマンショーみたいに次から次へと華麗にシュートを決めていく。
赤井くん達はもはや、手も足も出ない。
味方の子達まで呆然としてる。
「五十嵐くんたら、大人気ないなぁ〜」
なんて、野々原さんは隣でクスクス笑ってるし……何なのこの状況!!
それにしたって会長……上手すぎない?
しなやかな身のこなしとか、無駄のないフォームとか、地面を蹴って高く飛び上がる姿とか、滴る汗とか。
思わず見とれてしまう……。
────ピッピーーーーッ!!
試合終了を告げるホイッスルの音で、ハッと我に返った私は、自分が息をしていなかったことに気がついて慌てて胸を押さえた。