キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜


なんて言ってる間に、会長は試合へと戻って行ってしまった。



「野々原さん。今アイツ何か言わなかった?」


「うん。言ったね。何か面白くなりそう〜」


「え?」


「ほら。五十嵐くん本気出しちゃったみたいだよ」



本気?


なぜか楽しそうな野々原さんにそう言われ、コート内の会長に視線を戻せば。



────ダンッ!!


へ!?



今まさにダンクシュートを決めた瞬間の会長の姿が飛び込んできて、思わず息が止まる。


それと同時に、会場内が大熱狂に包まれた。


ど……ど……どういうこと!?!?


会長はその後も、ドリブルで一人また一人とかわし、まるで会長のワンマンショーみたいに次から次へと華麗にシュートを決めていく。


赤井くん達はもはや、手も足も出ない。


味方の子達まで呆然としてる。



「五十嵐くんたら、大人気ないなぁ〜」



なんて、野々原さんは隣でクスクス笑ってるし……何なのこの状況!!


それにしたって会長……上手すぎない?


しなやかな身のこなしとか、無駄のないフォームとか、地面を蹴って高く飛び上がる姿とか、滴る汗とか。


思わず見とれてしまう……。



────ピッピーーーーッ!!



試合終了を告げるホイッスルの音で、ハッと我に返った私は、自分が息をしていなかったことに気がついて慌てて胸を押さえた。
< 121 / 184 >

この作品をシェア

pagetop