キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「ううん!赤井くんお疲れ様!確かに負けちゃったけど、赤井くん達すごくかっこよかった!私達もバレー頑張るよ!」
胸の前でグッと両手を握って笑みを浮かべれば、「西園寺さん……。天使かよ」と赤井くんが冗談で涙を拭う素振りを見せた。
だって本当だもん。
赤井くん達の頑張りを見てたら、私も運動が苦手だなんて言い訳してちゃだめだなって思った。
優勝賞品はもう手に入らないけど、そんなのいいよ。
ちょっと前の私からしたら、こうして一緒になって頑張れる人達がいる。それだけで奇跡なんだ。
よし!赤井くん達の分も頑張るぞっ!!
「あーやべっ!教室にタオル置いてきた!」
赤井くんが腕で滴る汗を拭いながら、何やら自分の荷物をあさっている。
どうやら、汗ふきタオルを忘れてきてしまったらしい。
「取りに行くのめんどくせー」
「赤井くん!よかったら私の……」
“貸すよ”と言ってタオルを差し出そうとしたのに、そのタオルは赤井くんに届くことはなくて。
「借りるぞ」
代わりに会長の手にさらわれてしまった。
「ちょっと!アンタの場合、“あそこ”にたくさんあるでしょ!あっちの使いなさいよ!」
“あそこ”とは、さっきまで会長がいた女子達の群れのこと。