キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
女子達は、会長のために準備したと思われるタオルを悔しそうに握りしめながら私の方を睨んでいた。
その中には、例の城之内先輩の姿もある。
そりゃもう、可愛い顔が嘘のように歪んでらっしゃる……。
空気読んであっちのを受け取れっての!
でないと、私の命が危ないんだってば!!
「知るか。俺はこっちのが使いたいんだ」
「意味わかんない!タオルなんてどれも同じでしょ!?」
「同じじゃない」
私達のやり取りを赤井くんがオロオロしながら見守ってる。
会長のやつ。今日はいつもに増してわからず屋!
私は会長からタオルを思い切りふんだくって、赤井くんへと差し出した。
「赤井くん!気にせず使って!!」
「え……でも……」
すると、なぜか会長はムッとした顔をして、タオルが握られている私の手をおもむろに掴むと、自分の方へと引き寄せた。
「わっ……!」
バランスを崩し、前のめりになった私の耳元に会長が囁く。
「よそ見するなって、言っただろうが」
……は?
よそ見……?
さっきの試合中聞き取れなかった会長の口の動きを思い出す。
───“よそ見するな”
あの時……そう言ってたんだ……。
「お前は、俺だけ見てればいいんだよ」