キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜

「総合優勝とまではいかないから高級焼肉は逃したけどさ、そんなんなくてもクラスみんなでどっか行こうよ。もちろん西園寺さんもな?」



赤井くんが八重歯を覗かせてはにかんでみせる。



赤井くん……。



「そうだそうだ!!」


「赤井の言う通り!!」


「ちょー楽しみー!!」



盛り上がるみんなの様子にまた胸が熱くなってくる。


何だか私、温かい気持ちをもらってばっかりだ。



「ありがどう〜〜!!私、球技大会出て…よかっだぁぁ」



本当によかった。


みんなと頑張れて……よかった……。



「あはは!五十嵐様の言う通り、西園寺さんて本当に泣き虫なんだね!」



一人ぼっちの時は平気だったの。


嫌なことがあったって、悲しくたって。


涙なんて一つも出てこなかった。


涙ってこんなに温かいものだったんだって、もうずっと忘れかけてたくらい。



だけど。



アイツに拾われたあの日から、私はなぜか泣いてばっかりだ。


まるで、心の中で凍っていた氷が溶けて、流れ出ていくみたいに。


一人ぼっちが楽だなんて、どの口が言っていたんだろう。


ダメでへっぽこな私を見ても、こうして側に居てくれる人達がいる。


笑ってくれる人達がいる。


それってこんなに……幸せなことなんだ。
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