キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「はーい。病人見舞ったんなら、君たちも着替えてさっさと下校しなさーい」という、保健室の先生に促され、みんな「また明日ね!」と言って帰って行く。
そんなみんなに笑顔で手を振っている私の耳に、野々原さんが口を寄せてきた。
「片付けが終わったら、五十嵐くんが迎えに来るって言ってたよ。“一緒に帰るから大人しく待ってろ”って」
「会長が?」
「実はね、ここまで西園寺さんを運んだのは五十嵐くんなんだよ」
「ええぇっ!?!?」
嘘っ!?
会長がっ!?
「しかもなんと、“お姫様抱っこ”で」
「……っ!」
カァァッと一気に顔が熱くなる私に、野々原さんは「ドラマみたいだった〜」なんて目を輝かせてる。
何それ!恥ずかしくて埋まりたい!!
絶対後で「お前重いな」とか嫌味言われるに決まってるし!!
なんて考えながらも、会長の腕の中にいる自分をつい想像してしまう。
会長にお姫様抱っことか……想像しただけで無理!
何か無理!!
心臓の音がさらに速さを増していく。
火が吹きそうな顔を押さえながら動揺を隠せない私を見て、野々原さんはニヤリと笑ってみせた。
「城之内先輩、涙目になって悔しそう〜な顔してたよ。あんなに大事そうに西園寺さんを抱き抱える五十嵐くんを見たら、もう誰も西園寺さんに手出しはできないよ」