キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「だ、大事そうって!気のせいでしょ!?」
「さぁ?どうでしょう〜?」
そう言って不敵な笑みを浮かべると、野々原さんは「それじゃあ、気をつけて帰ってね!」と言って、保健室を出ていってしまった。
だ、大事そうって……。
なんやかや言いながら、会長が私を気にかけてくれてるのはわかってる。
鬼とも取れる態度を取るくせに、本気で私の心配をしてくれているのも。
でもそれは、大事にしてくれてるとかそういうのとは違うはず。
だって、野々原さんが言う“大事”って、いわゆるそういうことでしょ?
つまり会長が、私を一人の女として大事に思ってくれてるって……そういう───。
───『お前は、俺だけ見てればいいんだよ』
「……っ!」
球技大会の時の会長の言葉が浮かんできて、胸の奥がギュッとなる。
「……いや、ない。それはないでしょ絶対……」
会長は多分、凄く面倒見がいいんだ。
だから、私みたいな欠点だらけなヤツをほっておけない。
きっとただそれだけ。
それ以上でも、それ以下でもない。
多分そう。
ううん。
絶対そう。
開いた窓から生温い風が流れ込んでくる。
だけどそんな風じゃ、一向に私の体の火照りは冷めてはくれなかった───。