キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
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窓の向こうの薄い灰色の空が、だんだんとオレンジ色に染まっていくのを、ベッドの上に横たわりながらぼうっと眺めていた────。
「待たせたな。帰るぞ」
私の荷物を持った会長が現れたのは、あれから一時間くらいたった頃。
ベッドを仕切るカーテンを開けて、ズカズカと中に入ってくると、溜息を吐き出しながらパイプ椅子にドカッと腰掛けた。
「……お疲れ。珍しく疲れてるね」
「まぁな。やっと終わったって感じだな」
そう言って、会長は夕日をバックにクシャリと前髪をかき上げる。
何だろ?
さっき野々原さんにあんなことを言われたからかな?
会長のことが直視できない。
今までどうやって会長と接してたっけ?
「お前、熱は?怪我はまだ痛むか?」
「だ、大分痛みは治まったよ。湿布が効いてるみたい。熱は……まだちょっとぼうっとするけど、どうだろ?」
自分の額に手を当ててみる。
んー。自分じゃよくわからない。
「どれ」と言って、パイプ椅子から立ち上がる会長。
会長がベッドに手をつくと、ギシッとスプリングが軋む。
「……っ!」
次の瞬間、私の額に会長の額がコツンとぶつかった。