キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
会長も今日、花火大会デートがあるんだよね。
言われてみれば、今日の会長はいつにも増してオシャレな気がする。
服装は白のロゴ入りTシャツにデニムのパンツ姿で至ってシンプルだけど、スタイルが抜群なだけあってやたら様になってる。
ふーん。
デートの時はネックレスとかしちゃうんだ。
しかも……。
「……会長ってメガネとかかけるんだね」
「あ?あぁ、これな。祭りに来てる連中にバレにくいように、念のためだ」
「……へぇ」
そうですか。
そうですよね。
女の子と親しげに歩いてるとこなんか見られたら、会長のことだからすぐ噂になっちゃうもんね。
へー。ふーん。へーえ。
「……どうぞ、楽しんできてください」
それだけ言って、会長から顔を背ける。
恐らく、今の私はもの凄く不細工な顔してる。
ただ会長がデートをするってだけじゃん。
私は、何がそんなに面白くないんだろう?
「お前もな。くれぐれも羽目を外すなよ」
「わかってる」
それはこっちのセリフだっての!と心の中でごちていれば、会長は「それじゃあな」と言って部屋を出ていこうとする。
だけど、部屋の扉を開けたところで、その歩みはピタリと止まった。