キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜

手元のクッションを投げつけると、会長は不服そうにブツブツ言いながら部屋から出ていった。



「何なのよまったく……。人の気も知らないで……っ」



やっぱり、会長は私がいなくなるのなんて、全くどうってことないんだね……。



私は沈んでいく気持ちに耐えきれず、しばらくベッドの上でうずくまっていた。













「わぁ!西園寺さん、やっぱりめちゃくちゃ似合う!!」


「そ、そうかな?」



それからしばらくして、私は約束通り池崎さんのお家にお邪魔していた。



「本当、よく似合ってるわぁ!」



自分の姿を確かめようと、鏡の前でクルリと回ってみせる。


白い生地に、淡いピンクと水色の撫子の花があしらってある浴衣は、浴衣コレクターである池崎さんのお母さんチョイス。


“絶対これが似合う!”と言って選んでくれたものだ。



「西園寺さんは、とっても綺麗な顔立ちをしているから、絶対にこの色と柄がピッタリだと思ったの」



池崎さんのお母さんは、そう言ってニッコリと優しい笑みを浮かべる。



「ありがとうございます。着付けをして頂いて……。それに髪の毛も」
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