キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
手元のクッションを投げつけると、会長は不服そうにブツブツ言いながら部屋から出ていった。
「何なのよまったく……。人の気も知らないで……っ」
やっぱり、会長は私がいなくなるのなんて、全くどうってことないんだね……。
私は沈んでいく気持ちに耐えきれず、しばらくベッドの上でうずくまっていた。
*
「わぁ!西園寺さん、やっぱりめちゃくちゃ似合う!!」
「そ、そうかな?」
それからしばらくして、私は約束通り池崎さんのお家にお邪魔していた。
「本当、よく似合ってるわぁ!」
自分の姿を確かめようと、鏡の前でクルリと回ってみせる。
白い生地に、淡いピンクと水色の撫子の花があしらってある浴衣は、浴衣コレクターである池崎さんのお母さんチョイス。
“絶対これが似合う!”と言って選んでくれたものだ。
「西園寺さんは、とっても綺麗な顔立ちをしているから、絶対にこの色と柄がピッタリだと思ったの」
池崎さんのお母さんは、そう言ってニッコリと優しい笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。着付けをして頂いて……。それに髪の毛も」