キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
正直そう言われても、池崎さんのお母さんに会うまでは半信半疑だった。
だけど池崎さんのお母さんは、こんな私を見ても、“西園寺”という名を名乗っても……。
『わぁぁ!かずみの友達にはもったいないくらいの美人さん!かずみ!西園寺さんを大事にしなさいよ!あぁ、西園寺家のご両親がとっても羨ましい!』
なんて、全く動じなかったんだ。
今まで、蔑んだ目で見られることばかりだったから、驚きと戸惑いでいっぱいだった。
だけど、もしかしたら私は、ただ見逃していただけなのかもしれない。
本当は、人を家柄や見た目で判断する人は極わずかで、私はその極わずかな人間ばかりを気にして、勝手に窮屈な気持ちになってただけなのかも。
そういえば、前に会長が言ってたな。
────“大切なのは、誰彼構わず自分を受け入れてもらうことじゃない。自分と真剣に向き合ってくれるヤツを見極めて、そういうヤツを大切にすることなんじゃないか”
そして、“自分と向き合ってくれる人なんて、そう簡単にいるはずがない”と言った私に会長は言ったんだ。
────“そうやって自分がそっぽ向いてたら、見つかるもんも見つからないだろうな”
って。
今なら、あの時会長が言ってたことの意味が、よくわかる気がする。
池崎さんや池崎さんのお母さんだけじゃない。