キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「そういえば、野々原さんは?」
「野々原は何か用事あるらしいよ〜」
「そうなんだ……」
そういえば、花火大会の連絡が流れてくるメッセージグループに、野々原さんは参加してなかったな。
「なに〜?野々原さんも彼氏と花火大会参加組!?」
「羨ましい〜〜!!」
「え〜誰だろ!?同じ学校の人かな!?」
「いいな!私も彼氏欲しい〜!」
キャイキャイと騒ぎ出す女子に。
おおっ。こうして噂は一人歩きするのか。恐ろしい……。
なんて震えていたら、行く手に提灯の明かりや浴衣を着た人の群れが見えてきて、自然と胸が踊り始める。
うわぁ!縁日なんて何年ぶりだろ!
「よっしゃ!皆の者!今日は男子の目など気にせず、ガッツリ遊び倒すぞーっ!!」
振袖を揺らし、こぶしを高々と掲げ走り出す池崎さんの後を私達は「オーーッ!!」と雄叫びを上げながらついていった。
それからかれこれ一時間、私達はお祭りをここぞとばかりに満喫していた。
金魚すくい競争。
射的に輪投げに的当て勝負。
なぜだか全部勝負になってしまうのが、池崎さんの遊び方らしい。
クラスの女子達も私も、ことごとく池崎さんに惨敗。