キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
真っ暗な瞼の裏に、さっき彼女に向けていた会長の優しい笑みが浮かんできて、じわっと目頭が熱くなるのがわかった。
あんな会長見たくなかった。
何で見たくなかったの?
何でこんなにショックを受けてるの?
会長が誰とどこで何をしようと、私には関係のないことじゃない。
関係ない?
本当に?
ううん。
関係なくなんかないよ。
やだよ。
そんな優しい顔で、他の子を見たりしないでよ。
想いがグルグルして気持ち悪い。
頭がグルグルして気持ち悪い。
体が鉛のように重たくて。
寒気がする。
「会長……やだ……よぉ……」
────“鈴っ!!”
遠のく意識の中で、誰かに名前を呼ばれた気がした。
だけど私の意識は、そのまま寒くて真っ黒な世界へと吸い込まれていった。
*
────ピチャン……。
額に心地良い冷たさを感じで、重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。
ぐにゃりと歪んでいる視界。おまけに天井がありえないくらいグルグル回ってる。
うっ……。気持ち悪い……。
額に手を当てると、そこには冷たさの正体があった。
濡れタオル……?
しかも、今までまさに氷水の中にあったかのように冷えている。
「目、覚めたか?」