キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
ぼーっとする頭が一気に覚醒したのはこの声の直後。
気だるい体を動かし、声のした方に寝返りを打った私は、目の前に現れた光景に心臓が飛び出すかと思った。
私が寝転がるベッドに片肘をついて、添い寝かってくらいの至近距離でじーっと私を観察しているその視線と私の視線がぶつかったからだ。
「うわぁぁぁ!?か、会長!?!?」
「何だ。人を化け物みたいに。失礼なヤツだな」
不服そうに眉間にシワを作る会長。
私は慌てて毛布を頭からかぶって自分の殻に閉じこもる。
だってだってだってだって!
「か、会長、何でここにっ……!」
「祭りでお前が走り去って行くのが見えたから、何があったのかあの池崎とかいう女子に聞いたんだ」
それを聞いて、またさっきのお祭りでの光景が蘇ってきてしまった。
会長の彼女だと思われる子に向けられた、柔らかくて優しい笑顔。
胸がまたズキンと痛む。
会長は、はぁと深いため息をついて前髪をかき上げると、私が被っていた毛布を引き剥がし、厳しい目を私に向けてくる。
げ。久々鬼モードだ。