キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「……っな!?違っ……」
……くはない。
違くはないぞ鈴。
これはどう考えても図星というやつだ。
「……っ知らないし!」
「ふーん。そうか。ヤキモチか」
真っ赤に染まる私に、なぜか妙に満足気な会長が口角を上げる。
「ち、違うからっ!!ヤキモチとかそんなんじゃないからっ!!私はただ、もうすぐあんたとの生活も終わりだから、思い出作りに花火くらい一緒に見てもいいかなって……」
あと少し。
あと少ししかこうして一緒にいられないんだ。
私が家に帰った後も、会長に少しくらいは私といた時間を楽しかったって思ってもらいたい。
私も、会長と一緒にいた時間を糧に頑張るから。
だから、今だけは会長の隣は私だけの場所であってほしいって……。
あれ?
これって、会長が言う“ヤキモチ”と何が違うんだろう?
「そうだな」
「え?」
「見るか。花火」
イタズラっ子みたいな笑みを浮かべた会長の顔が近付いてきて、ドキッと心臓が跳ねた刹那。
「きゃっ!?」
毛布にくるまれたまま、フワッと体が浮き上がる。
これって……世に言うお姫様抱っこというやつじゃ!?!?
「会長!?下ろしてっ!!」
「うるさい。黙ってろ」
私の訴えになんかに耳を貸さず、スタスタとリビングの方に向かう会長。