キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
「ねぇねぇ〜。こんなところで何してるの〜?」
間延びした下品な声が聞こえてきて、ハッとする。
込み上げていたものが一瞬で引っ込んでいった。
知らないスニーカーのつま先が見えて、俯けていた顔を恐る恐る上げると……。
「あれぇ〜?泣いてるのかと思った〜」
うわぁ。
面倒臭そうなのが現れた。
いかにも僕達チャラいですって感じの2人組が、ニヤニヤした気持ち悪い笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
「ねぇ〜よかったら、俺らとどっか行かない?」
「行きません」
「え〜連れないなぁ〜!いいじゃん少しだけ!」
「ほっておいてください」
「またまた!嫌がってるふりしてんでしょ?キミ結構遊んでそうじゃん〜」
うるさいな。遊んでそうで悪かったわね。
こう見えて、男の人とキスはもちろん手すら繋いだことないっての。
何も人のこと知らないくせに、勝手に決めつけてんじゃないわよ。
あんたらみたいなのがいるから、お父さんみたいに見栄えや世間体ばかりを気にする大人が生まれるんじゃない。
あぁもう。
今日はなんてついてない日なんだろう。
次から次へと嫌なことばっか。