キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
それでいい。
それが当たり前。
それなのに、この男はなぜか私に関わってくる。
こんな嘘までついて、私の家出に手を貸そうとしてる。
……一体何を考えてるの?
『それともあれか?』
会長が、一歩一歩私へと近づいてくる。
その歩みは、ベンチに座る私の目の前でピタリと止まった。
『俺と一つ屋根の下が怖いとか?』
そう言って、会長が私の顎をすくい上げる。
少し肌寒い風が流れて、会長の髪が優しくなびく。
私を見下ろすその顔は、腹立たしいくらい整っていて、憎らしいほど意地悪。
だけど、私を映すその瞳はどこか優しくて、温かくて……。
吸い込まれてしまいそう。
『……っ』
そんなことを思ってしまった自分に赤面する。
私のバカ!!
この男相手に、何見とれてんの!!
動揺する自分を隠したくて、強がったのが運の尽き……。
会長の手を思い切り振り払って。
『こここ、怖いわけないでしょ!?何言ってんの!?余裕よ余裕!!一つ屋根の下でもなんでも、受けて立とうじゃない!!』
心にもないことを口走ってしまったのだ。
───
────
つまり、こんな事態を招いたのは自分だっていう……。