キミに拾われ、恋して、知って。〜鬼生徒会長と同居はじめます〜
口に何かを突っ込まれた違和感で目を見開いた。
その瞬間に、甘いバターの風味が口の中いっぱいに広がって。
「美味しい!!」
反射的にそう叫んでいた。
ってあれ?
これ、クッキー??
「腹減ってるんだろ?今腹ごしらえできるもんこれくらいしかないからな。晩飯までこれでもたせろ」
モグモグと口を動かす私の前に、さらにクッキーを差し出す会長。
なわば無意識にかぶりつくと、「ぶっ……」と会長が吹き出した。
ハッ!しまったつい!
「まるで餌付けだな」
「うっ……」
仕方ないじゃない!お腹すいてるんだから!
しかも私、クッキーには目がないのよ!
眉尻を下げ楽しそうに笑っている会長。
そんなヤツを真っ赤な顔で睨みつけていれば、会長は私の鼻をキュッとつまんでから「茶を淹れてくる」と言ってキッチンへと行ってしまった。
なんか意外。
アイツもああやって笑うんだ。
普段鬼なくせに……。
なんだか身構えてた自分が馬鹿みたい。
もう!滝本のお母さんがオオカミとかって脅かすから!
大丈夫。
たかが同居くらいなんとかなる。
今日は野宿も覚悟してたんだもん。
屋根があるところで寝られるだけでも良しとしなくちゃ!