星夜光、きみのメランコリー


『人と違うってことは、やっぱり大変なこともあるし、尚且つそれを周りに分かってもらうには、きっとつらい想いもたくさんしなきゃいけないのかもしれないね』

『でも、あたしは天香のその世界、見てみたいって思うよ。あたしにはきっと一生感じることはできないんだろうなあって思うとさ、やっぱり天香は選ばれた人間なんだろうし』

『きっと、天香にしか見えない世界だってことは、きっと何か理由があるんだよ。天香にしか、できないことがあるんだよ』



メロンソーダと一緒に注文した、冷えてしなしなになったポテトフライを、ケチャップに付けては口に運びながら、千種はそう言っていた。

まるで、なんでもないことのように。



『…千種は、あたしのこと、気持ち悪いって思わないの? 色と話すんだよ?』

『別に? 感じるんだから仕方ないじゃん。ユーレイと話してるんじゃなくてよかったって、あたしは思ってるけど』

『…』


…千種にとってあたしの世界は、いい意味でどうってことないらしい。でも、その世界を見られるのは羨ましいって。見てみたいって。そう言ってくれた。


この時の何気ない千種の言葉が、あたしにとっては宝物になった。


学校にも行けるようになった。自分のことを、必要以上にきらいにならなくなった。あたしを否定する世界を、あまり気にしなくて大丈夫になった。


千種のことを、あたしはだいすきになった。



『…ちなみに言うとね、あたし、千種の髪にいる色たちが可愛いって思うんだあ。それって地毛なの?』

『げっ、この色? これは地毛だけど。あたし、生まれつき少し茶色いんだよ』

『へぇ〜〜。こんにちは〜〜!!』

『おーおー。早速会話してるねぇ』


たまに呆れるように、あたしを見る千種が好きだった。必要以上に、あたしの世界に乗り込んでこない千種を信頼していた。

それは、今だって変わらない。


少しずつ、指を動かす練習に付き合ってくれた。

よくやったのは、絵しりとり。

美術が苦手だと言う千種は、絵が下手すぎていつも負けた。ネコさえも上手に描けない。そのくせ、あたしには難しいお題を出してきては、それを描かせようとした。


そんな風に、千種とは絆を深めて来た。


あたしの世界を救ってくれたのは、紛れもなく彼女だ。


立ち直るのに、あまり時間はかからなかった。

それはきっと、明るい彼女のそばにいたから。千種が、あたしの世界をすきだと言ってくれたから。


だからあたしも、もう一度自分の世界をすきになろうと思えたんだ。




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