星夜光、きみのメランコリー
…キキーッ。
校門を出たところで、鋭い音が響いた。ハッとして千歳くんと同じ方向を向くと、一台の自転車がブレーキを踏んだよう。
考え事をしてたから、びっくりしちゃった。
「…びびった」
千歳くんも、同じみたい。静かにさりげなく、道路側に出てきてくれていた彼に、また少し胸が掴まれた。
そんな時、さまざまな色たちが集まっている空に、高い声が響いたんだ。
「……ちとせ!」
ふわりと、甘いにおいがして。目の前に、さらりとキラキラ光るキャラメル色の何かが通った。
「嘘みたい!ちとせに会えた!」
「は?」
「絵菜だよ、ちとせ!久しぶり!」
エナ、と言う、目の前に自転車で現れた女の子。さっき、ブレーキをかけたひとだ。
クルクルの胸下まで降りたキャラメル色のサラサラの髪。
白いワンピースを着たその子は、弾けた笑顔であたしたちの前に現れた。
…だれ?
「…えな?」
千歳くんの、知り合い?
「そうだよ!ちとせ、会いたかった…!」
突然の出来事に、頭が追いついていかない。でも、その瞬間に、ふたつの影が重なった。
……え?
「…ちょっと、えな。ここは日本だから、こーいうのやめな」
「ええ〜!良いじゃん、前はしてたじゃん!」
「お前から一方的にね」
……な、なんだ今の。
今、一瞬だけ、千歳くんが離すまでの一瞬だけ、ふたりのくちびるが、目の前で重なったような…。
「だって、ちとせ相変わらずかっこいいんだもん。あたしの王子様」
「分かったから、離れてくれない?」
な、な、なんだこの子———!?