星夜光、きみのメランコリー
『へぇ〜。王子に女がねぇ…。しかもフランス在住の!』
「ちょっと、繰り返さないでよ〜千種〜」
帰って、ベッドに転がったまま千種に電話をかけた。
明日学校に行くまで、大人しく待ってられなかった。どうしても、今日言いたくて。
『繰り返さないでって、あんたが言ったことでしょ。王子に女がいたって』
「そうとは言ってない!可愛い女の子が千歳くんに…!千歳くんに…っ」
『千歳くんに、なに』
「………だ、抱きついてたの」
『ヘェ〜〜〜〜』
初めて聞いた千歳くんの女の子絡みの話に、千種は少し興味があるようだった。少しというか、興味津々。
そりゃそうだよね。だって本当に学校ではそんな素振り見せなかったもの。いつだってクールで、友達でさえ右京くんくらいしか見たことなかったのに。
…待って、今のは失礼だった。きっと右京くん以外にも友達はいるはず。
「と、とにかく、気まずくて仕方ないよ…!もう千歳くんに普通の顔して会えない…」
『どうして?』
「どうしてって……」
……だって、あんなシーン見ちゃったんだよ。
『あんただって今まで彼氏いたことだってあるんだし、別にいいじゃない。まぁ他人のそーいうの見るのって実際嫌なこともあるけどさあ。それとも、なに?ほかの理由で気まずいの?』
「…ほかのりゆう?」
なんだ、それ。千種、何言ってるの。
『王子のそーいうところ見て、あんたはショックを受けてんじゃないの?』
「…………」
『って、あたしは思ったんだけど』
さらりとした千種の声が、あたしの耳を刺激した。
“ショック”…
『ちがう?』
……そうか。あたしは、千歳くんのそばにあんな可愛い女の子がいたことが、ショックだったのか。