星夜光、きみのメランコリー
「…ちがくない………」
『ふ。可愛いね天香』
千歳くんとは仲良くなれたと思っていたけど、実際あたしは千歳くんのことは何も知らない。
彼の秘密は知っていても、彼が今まで何をしたきたとか、どこに住んでいたとか、誰をすきだったかとか、誰と付き合ってきたかとか。
あたしは、知らない。
知らないのが普通だと思う。でも、それが今日、とても悔しくなった。
「千種…」
『ん?』
「千歳くんは、ずるいんだよ…。いつもいつも、ずるいの。ずるいの…」
いつもあたしばっかりドキドキして、ずるい。いつの間にこんなふうに、考えるようになっちゃったんだろう。
『そうだね、ずるいね。そんな天香、あたし久しぶりに見たもん』
…あたしだって、これでも女の子だ。
この感情を、なんていうか、もう知ってる。
『でもさ、王子ももしかしたら、そう思ってるかもしれないよ。途中で逃げ出しちゃったなら、なおさら』
「…うん」
『次に会ったら、ちゃんと謝っておきな。きっと許してくれるよ』
千歳くんは、逃げちゃったあたしを見てどう思ったんだろう。
なんで逃げたの?って思ったかな。
それとも、あたしの気持ちに気づいたかな。
分かんないや…。あんまり気にしてないかもしれないし。うん、ありえる。
とりあえず、明日謝らなきゃ。
「…ありがとう千種」
『イーエ。でも一色くんは、きっと天香のことは大事に思ってくれてるよ。それは間違いないと思う』
「うん、そうだね」
少しだけ、周りの色が華やかになった。
というか、心配して飛び回っていた子たちに、やっと意識を向けられた。
ともだちの力は、偉大だ。