星夜光、きみのメランコリー


『何してんだよこんなところで。メシ食わねーの?』

…千歳くん。彼はあなたと絵菜さんのことをあたしに愚痴ってたのです…。

『何してんだよって、お前が見慣れない美女といちゃついてっから、天香ちゃんに電話してたんだよ』

『は?天香?』

「は、はい!」


あ、思わず返事しちゃった。千歳くんに聞こえるはずがないのに。


『ははは。天香ちゃん、今反射的に返事したの?かわいいね』

「えっ!?」

『いーから、早く食えよ。なに天香にちょっかい出してんだよチャラ男』

『なんだよ、お前にはあの美女がいるからいいだろうが!あっ、千歳お前、スマホ返せ!』

『もしもし、天香?こんなアホの話なんか聞かなくていいから。じゃ』

『えっ、バカお前何す……』


ツーツーツー。


ブチっと切られた電話。かかってきたのも突然で、切れたのも突然だ。今のはいったいなんだったんだろう。


嵐のように去っていったふたりの会話についていけず、しばらくベッドの上でぼーっとしてしまった。

…美女。確かに絵菜さん、とんでもない美女だったもんな。右京くんがたとえチャラ男だったとしても、それは間違いではない。


そう考えると、また心臓付近がもやっとした。


…あーあ。やだなあ。この気持ちは身に覚えがあるけれど、こういうマイナス思考にも陥りがち。


でも、このマイナス思考が何よりもの証拠。



…あたしは、いつの間にかこんなにも千歳くんのことがすきだったんだ。




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