星夜光、きみのメランコリー
…え、千歳くん、今わざと目をそらしたの?
いつもは、おはようって、言ってくれると思うんだけど…。
「何で朝から機嫌悪いんだよ。冗談だろ」
「右京はノリが軽すぎ。早く行くよ」
はぁ、と小さく溜め息をつきながら、千歳くんはそのまま廊下を進んで歩いて行った。
またね、と手をひらひらさせている右京くんに、あたしも振り返したけど…結局、千歳くんは何も言わなかった。
いつもだったら、名前を呼んでくれるのにな。
「あ、彩田。おはよう。いいところにいた」
ぼーっと足元を見て考え込んでいると、出席簿を脇に挟んだバッチャンこと、川端先生が立っていた。
「おはようございます」
「ん。お前今日、放課後、進路指導室来いな。ちょっと話するぞ」
え?進路指導室?そんな予定あったっけ。
「あの、あたしまだ進路調査票書いてないんですけど…」
「あ?書いてなくてもひとりずつ面談してくって言っただろ。お前さては、また話聞いてなかったな?」
「…」
い、言ってたっけ。きっとテスト返ってきた時だよね。燃え尽き症候群で全然覚えてないや。どうしよう。
「わかりました…」
「ん。ちゃんと調査票も持ってこいよ」
「ハイ」
実を言うと、進路調査票の存在も忘れていた。まだまだ提出締め切りは先だけど、早く決めろってことなのかもしれない。
…面談、いやだなあ。なんて言えばいいんだろう。何も考えてないよ。