星夜光、きみのメランコリー


「彩田さん?どうしたの?」


色々考えていたせいでその場から動かずにいると、千歳くんのクラスメイトであろう女子ふたりから声をかけられた。

…見たことはあるけど知らない人。その人たちがあたしの名前を知っている。と、いうことは…。


「う、ううん…。なんでも…」


あまり近づかない方がいい。傷ついちゃう。自分が。


「もしかして、一色くん?王子は、あたしたちが教室出ていく前からいなかったけど。なんの用?」

千歳くんのことを王子って呼んでいる。これはもう、千歳くんのことが好きか、ファンか、どっちかってことは間違いない。

心なしか、傷も痛んで、嫌な予感。


「いえ、なんでもないで…」

「彩田さんってさあ、王子とどういう関係?付き合ってるの?」


目の前の女子ふたりはニコニコ笑っている。でも、その笑顔が本物ではないってこと、あたしはもう知っている。


…あの時の珊瑚と、同じ顔。


「よく一緒にいるよね。学校からも一緒に帰ってるっぽいし。てか、前から思ってたんだけど、その手首のリストバンド、なに?好きなバンドのやつとか?いつも付けてるよね」

「でも、何も書いてなくない?まっくろ」


ああ、いやだ。触らないで。

触られると、傷がいたむ。ズキズキ、ズキズキ。

そこは、千歳くんと千種だけが知ってる、あたしの知られたくない過去なのに。


千歳くんと千種だけが、特別なのに。



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