星夜光、きみのメランコリー
袖を下まで下ろして、ついでにボタンまで閉めた。なんとなく、これ以上一色くんには見られたくなかった。
「昨日はグロテスクなもの見せちゃってごめんね」
あはは、と笑ってみせた。まさか、あんな失態を見せてしまうことになるとは思わなかったんだ。しかも、この人に。
学年の王子に一番初めに見られる姿が流血姿ってどうよ。少女漫画なら有り得ない話。
「…どーだっていーよ。そんなん」
興味ないと言うようにつぶやく一色くん。だけど、あたしの目をじっと見ながら、そう言ってくれた。
「1つの傷くらい、なんだって言うんだ」
「…」
長い睫毛。切れ長の二重。整った眉。そして…。
「……あ! 一色くんの目、すごく綺麗な色をしてるね…!」
初めて発見した。まるで小さくなった星野光のような、瞳。
少し緑色がかかっている。完全な黒じゃない。茶色でもない。変わった色。キミは、なんていう色なんだろう。初めましてだ。
「…あぁ。でも、日本人でも多いらしいよ。“ ヘーゼル色の目 ”」
「ヘーゼル色…」
そうか。キミはそんな名前を付けられた色なんだね。ヘーゼル色。そんな名前の瞳、あたしは初めて見た。
「ヘーゼル色かあ。でももっと色んな色たちがいるよ、一色くんの目」
「色んな色たち…?」
「そう!色ってね、ひとつの色に見えて、そうじゃないことが多いんだよ。わぁ〜!初めましての色ばっかりだあ」
一色くんの目は、本当に色々な命が宿っているような目だった。本当に、昨日見た星野光のようだ。あたしのノートの子たちとも、お友達になれるかもしれない。